相続人調査
被相続人の死亡により相続が開始した場合、相続人が誰であるか確定させるため、相続人調査を行わなければなりません。
相続人調査の方法は、被相続人の出生から死亡までの全ての戸籍謄本を揃えることによって行います。
相続財産の名義を変更するときなど、金融機関や法務局では、相続人調査がされていなければ名義変更は受け付けてくれませんし、遺産分割協議も相続人全員が参加する必要があるため、相続人調査のされていない遺産分割協議は無効になる恐れがあります。
相続人の調査方法
まず、第1順位の相続人である子供の存在の有無を調査します。存在するのであれば何人いるのかを確定するためです。高齢者が亡くなった場合の、戸籍は少なくとも3~4通はありますので、それを全て収集する必要があります。同じ市区町村役場で全ての戸籍謄本が揃う場合もあれば、あちこちの市区町村役場に戸籍謄本の請求をしなければならない場合もあります。
被相続人に子供がおらず、両親・祖父母が既に死亡している場合は、第3順位の相続人を調査する必要があります。被相続人の出生から死亡までの全ての戸籍謄本に加えて、被相続人の両親の出生から死亡までの全ての戸籍謄本を揃えなければなりません。これは第1順位の相続人である子供が存在しないことを確定し、さらに第2順位の相続人である両親・祖父母が既に死んでいることを確定し、第3順位の相続人である兄弟姉妹が何人いるのかを確定するために必要な手続です。
戸籍の種類
戸籍は、被相続人が出生してから亡くなるまでのもの全てが必要ですが、戸籍には下記の通りいくつかの種類があります。
(1)現在戸籍
現在の戸籍です。一般的にはコンピュータ化された後のものですが、地域によっては未だ手書きの戸籍もあります。
(2)平成改正原戸籍
戸籍は法律の改正によって様式に数回変更があります。平成に入って変更があったのでこう呼ばれます。
(3)昭和改正原戸籍
昭和の初期に様式に変更があったものです。
(4)昭和改正原戸籍以前の戸籍
昭和の初期以前にも数回変更されています。
(5)除籍
転籍をしたり、その戸籍に誰もいなくなったりしたら除籍となります。
相続人調査の難しさ
相続人を確定するためには、被相続人によって違いはありますが、多い人で戸籍謄本・除籍謄本・改正原戸籍謄本・改正原除籍謄本の4種類の謄本が必要になる場合があります。戸籍事務の関係で年齢が高くなればなるほど、戸籍謄本だけではその人の家族関係が不明な場合が多々あるためです。
相続手続きでは、被相続人の誕生から死亡するまでの過程が明らかとなるように全ての謄本を取得しなければなりません。過去に何度も本籍を変更した人の場合、今までに本籍を置いた市町村全てを調べる必要が出て来ます。取得する戸籍の数が多いほど戸籍取得の作業も困難になるというわけです。
戸籍謄本等は、相続人確定だけでなく相続に関する様々な手続き(相続財産の名義変更や登記)で必要になりますので、数通まとめて請求しておくと便利です。