医療法人設立の要件
医療法人設立の要件には、大きく分けて「人的要件」と「財産的要件」があり、それぞれの要件を満たしている必要があります。
人的要件
役員
原則として理事3人以上が必要です。そして、理事のうち医師または歯科医師1人を理事長として互選します。
しかし、常勤医師が1名または2名の診療所を1カ所のみ開設していて、知事の認可を得た場合に限り、理事の数を1名または2名とすることが出来ます。
さらに、監事1人以上が必要です。ただし、監事は理事を監督する立場にあるため、法人の利害関係者や理事の親族(6親等以内を目途)などは就任出来ません。
理事・監事のいずれも、未成年や取引先企業の役職員の就任は実務上受け付けてもらえません。
社員
社員は、原則として3人以上です。医療法人の社員は、株式会社でいう株主に近いものをいいます。
社員になるには出資が必須ではなく、出資した方は必ず社員になりますが、出資していない方も社員になれます。
役員の欠格事由
次のいずれかに該当する方は、医療法第46条の2第2項の規定により、医療法人の役員となることが出来ません。
(1)成年被後見人又は被保佐人
(2)医療法、医師法、歯科医師法その他医事に関する法令の規定により罰金以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から起算して2年を経過しない者
(3)上記に該当する者を除くほか、禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなるまでの者
財産的要件
出資財産
(1)不動産、借地権
(2)預貯金
(3)医業未収入金
(4)医薬品・材料など
(5)医療用器械備品
(6)什器備品
(7)電話加入権
(8)保証金等
(9)内装付帯設備
(10)その他
負債
出資(寄附)財産の取得時に発生した負債は引き継ぐことが出来ます。しかし、法人化前の運転資金や消耗品購入費用の負債は引き継ぐことが出来ません。
運転資金
原則として年間支出予算の2か月分が必要です。預貯金や医業未収入金など換金性が高いもので算出され、法人設立後の金融機関からの借入金は運転資金として算入出来ません。
医院不動産の永続的な確保
医院の土地・建物は、医療法人所有の物が望ましいとされていますが、長期(10年以上)の賃貸借契約が担保されていれば借地、借家でも可能です。
ただし、医師個人が所有する不動産を安易に医療法人に出資すると、将来的な相続の際に「小規模事業等宅地の特例」を受けられなくなったり、税制上必ずしも有利とは言えない場合もあります。従って、個人所有の不動産の医療法人への出資は慎重に検討されることをお勧めします。