任意代理契約
任意後見契約を締結した後も、本人に十分な判断能力がある間は、任意後見受任者が職務(後見事務)を開始することは出来ません。そのため、契約後に受任者と本人との接触がなくなってしまうような場合、本人の心身の状態及び生活状況の変化や判断能力低下の程度などを適切に把握することが困難となり、適切な時期に任意後見または法的後見を開始するタイミングを失うことにもなりかねません。
そのような事態に備え、本人と受任者との間に、身上監護を主体とする「見守り契約」や、財産管理を主体とする「財産管理委任契約」などの契約を結んでおく必要があります。これらを総称して「任意代理契約」と呼んでいます。
任意代理契約は、成年後見制度と違って、本人の判断能力が十分なうちから利用出来る点が大きな特徴となっています。
見守り契約
見守り契約とは、一般的には任意後見受任者が、本人の心身の状態や生活状況を、面談や電話などで継続的に確認することを目的とした委任契約になります。
見守り契約を結ぶことによって、任意後見契約締結後も本人と受任者の接触が定期的に図られることになるため、適切な時期に任意後見を開始出来るといったメリットが得られます。
見守り契約は、当事者間の合意によって効力が生じるもので、内容も自由に定めることが出来ます。
身上監護を主体とする内容では「ソーシャルワーク契約」と呼ばれ、また、弁護士など法律の専門家を任意後見受任者に選任して法律的な助言を期待する内容では「ホームロイヤー契約」と呼ばています。
財産管理委任契約
財産管理委任契約とは、財産管理に関する事務の全部または一部について、代理権を与える人に継続的に依頼する民法上の委任契約になります。
財産管理委任契約は、当事者間の合意によって効力が生じるもので、内容も自由に定めることが出来ます。
死後事務委任契約
死後事務委任契約とは、本人の死後の葬儀や埋葬に関する事務について、受任者に代理権を与える委任契約になります。
死後事務委任契約は、当事者間の合意によって効力が生じるもので、内容も自由に定めることが出来ます。
死後事務の内容
・委任者の生前に発生した債務の弁済
・委任者の死後の葬儀、埋葬もしくは永代供養に関する債務の弁済
・賃借建物の明け渡し、敷金もしくは入居一時金等の受領
・親族関係者への連絡
・家財道具や生活用品の処分に関する事務 など