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任意後見制度の手続きの流れ
任意後見制度を利用するには、本人の判断能力が十分なうちに、自らの意思で選んだ任意後見受任者と任意後見契約を結ぶことから始まります。ここでは、任意後見制度を利用するための手続きについて、順を追って説明します。
STEP1 任意後見人の選任
認知症などによる将来的な判断能力の低下に備え、まだ判断能力が十分なうちに、信頼出来る人(家族、友人、弁護士、司法書士等の専門家など)を任意後見受任者に選びます。その際、財産管理についてなど、支援や権限の内容も事前の話し合いで決めておきます。
STEP2 任意後見契約書の作成
本人と任意後見受任者が公証役場に出向き、公証人の立会いのもと、公正証書による任意後見契約書を作成します。何らかの事情で本人が公証役場に行けない場合は、公証人に出張してもらうことも可能ですが、出張料・交通費が別途かかります。
署名捺印された公正証書・任意後見契約書は3通作成され、原本は公証役場に保管し、正本と謄本は本人と任意後見受任者に渡されます。
STEP3 公正証書の登記手続き
公証人は、公正証書を作成したことについて、東京法務局への登記手続きを行います。任意後見受任者や本人などの請求により登記事項証明書が発行され、家庭裁判所へ申し立てをする際に添付することになります。
※契約書を作成しても、実際に本人の判断力低下が生じるまでは、任意後見契約書は存在してもその効力は発生しません。
STEP4 家庭裁判所への申し立て
任意後見契約の締結後、本人に判断力の衰えがみられるようになった際には、本人の住所地を管轄する家庭裁判所に対し、任意後見制度開始の申し立てを行います。この際、各家庭裁判所が指定する書類の提出が必要となります。
STEP5 任意後見制度の開始
申し立てにより家庭裁判所が成年後見制度の利用について適格であると判断すれば、任意後見制度が開始されます。
任意後見契約書に定められた任意後見人がそのまま選任され、契約した内容にしたがって代理権を得ることになります。
STEP6 任意後見監督人の選任
任意後見の開始と同時に、家庭裁判所は任意後見人を監督する任意後見監督人を選任します。選任された任意後見監督人は、任意後見人の行動を監督し、家庭裁判所に対し定期的に報告を行うことになります。
なお、誰を任意後見監督人とするかは、任意後見契約書作成の際に、本人の推薦であらかじめ決めておくことも出来ます。
STEP7 成年後見登記手続き
家庭裁判所は、成年後見制度(任意後見)が開始されたこと、任意後見人の権限の内容、任意後見監督人が選任されたことを、東京法務局に登記します。任意後見人や本人などの請求により登記事項証明書が発行され、本人との契約の相手方などに任意後見人の権限を示すことが可能になります。
STEP8 任意後見人の仕事の開始
任意後見人は、任意後見契約で定められた内容や権限にしたがって仕事(財産の管理など)を開始します。
任意後見人は、任意後見の効力が発生した時点で、本人の財産目録と収支状況を家庭裁判所へ報告します。この報告は年に1度を目安に定期的に家庭裁判所へ提出しなければなりません。
STEP9 任意後見契約の終了
任意後見契約は、任意後見契約の解除、任意後見人の解任、本人について法定後見の開始、本人の死亡、任意後見人の死亡等により、終了となります。