医療機器の許可申請
医療機器を製造、または輸入・販売する場合には、原則として承認・許可が必要です。また、医療機器特有の制度として、認証機関による認証手続が必要な場合があります。
医療機器製造業許可
医療機器を製造するには、該当する区分および製造所ごとに許可が必要となります。有効期間は5年です。
医療機器の製造業の許可の区分は薬事法施行規則第二十六条第五項で規定されており、下記の4種類となります。
区分 | 概要 | |
第一号 | 大臣指定区分 | 厚生労働大臣が指定したもの、及びその製造管理又は品質管理に特別の注意を要するものとして厚生労働大臣が指定する医療機器の製造工程の全部又は一部を行うもの |
第二号 | 滅菌区分 | 滅菌医療機器の製造工程の全部又は一部を行うもの |
第三号 | 一般区分 | 前二号に掲げる医療機器以外の医療機器の製造工程の全部又は一部を行うもの(次号に掲げるものを除く。) |
第四号 | 包装等区分 | 前二号に掲げる医療機器の製造工程のうち包装、表示又は保管のみを行うもの |
製造所のいわゆる分置倉庫については、製造行為に付随する業務として、出荷判定待ち製品の保管や出荷判定後の保管出納業務等を行うため、上記包装等の区分の第四号許可を取得する必要があります。なお、上記の第一号許可の包装等の場合は、上記の第四条許可ではなく、上記第一号許可の区分許可が必要となります。
医療機器製造業許可の要件
医療機器製造業の許可を受けるためには、以下の要件を満たしている必要があります。
1. 責任技術者の設置
医療機器の責任技術者になるためには、以下のいずれかに該当する必要があります
(1) 大学等で、物理学、化学、金属学、電気学、機械学、薬学、医学又は歯学に関する
専門課程を修了した者
(2) 旧制中学校若しくは高校又はこれと同等以上の学校で、物理学、化学、金属学、電気学、
機械学、薬学、医学又は歯学に関する専門の課程を修了した後、医療機器の製造関連業務に
3年以上従事した者
(3) 医療機器の製造関連業務に5年以上従事した後、別に厚生労働省令で定めるところにより
厚生労働大臣の登録を受けたものが行う講習を修了した者
(4) 厚生労働大臣が前三号に掲げる者と同等以上の知識経験を有すると認めた者
ただし、一般医療機器のみを製造する製造所にあっては、上記の規定にかかわらず、以下の各号に該当する者を責任技術者とすることができます
(1) 旧制中学校若しくは高校又はこれと同等以上の学校で、物理学、化学、金属学、電気学、
機械学、薬学、医学又は歯学に関する専門の課程を修了した者
(2) 旧制中学校若しくは高校又はこれと同等以上の学校で、物理学、化学、金属学、電気学、
機械学、薬学、医学又は歯学に関する科目を習得した後、医療機器の製造に関する業務に
3年以上従事した者
(3) 厚生労働大臣が前二号に掲げる者と同等以上の知識経験を有すると認めた者
なお、責任技術者と総括製造販売責任者等は兼務出来る場合があります。
2. 製造設備・試験検査設備の設置
(1) 該製造所の製品を製造するのに必要な設備及び器具を備えていること
(2) 円滑かつ適切な作業を行うのに支障のないよう配置されており、かつ、
清掃及び保守が容易なものであること
(3) 手洗い設備、便所及び更衣を行う場所を有すること
(4) 作業所は、次に定めるところに適合すること
イ 照明及び換気が適切であり、かつ、清潔であること
ロ 常時居住する場所及び不潔な場所から明確に区別されていること
ハ 作業を行うのに支障のない面積を有すること
ニ 防じん、防虫及び防そのための設備を有すること(ただし、製造する製品により、
この限りではない)
ホ 廃水及び廃棄物の処理に要する設備又は器具を備えていること
ヘ 製造により有害ガスを取り扱う場合には、その処理に要する設備を有すること
(5) 製品、製造用物質及び構成部品を区分して、衛生的かつ安全に貯蔵するために必要な設備を
有すること
(6) 製品等の試験検査に必要な設備及び器具を備えていること(ただし、委託して外部の
試験検査機関を利用するのは可能)
QMS省令
QMSとは、正式には「医療機器及び対外診断用医薬品の製造管理及び品質管理の基準」(厚生労働省令第169号)と言い、ISO13485と似た品質管理システムであり、ISO13485を取得するのと似たような基準になっています。
一般医療機器以外の医療機器を製造する場合は、製造業者は、QMS省令に適合した製造管理体制を構築しなければなりません。製造販売元が医療機器の承認や認証を申請した後、製造所がQMS省令に適合しているかどうかの査察(QMS適合性調査)が行われるためです。
製造所のレイアウトや、製品・資材・原材料等の保管方法は、許可申請書の記載事項ですが、QMS省令の要求事項である「作業環境」、「製品の識別」などにも深く関わっています。
医療機器製造販売業許可
医療機器を市場に出す事業者(輸入業者も含む)は、医療機器の製造販売業許可を取得する必要があります。
医療機器製造販売業許可は、クラス分類された医療機器に対応した厚生労働大臣の許可が必要です。有効期間は5年で、申請の窓口は都道府県になります。複数の営業所がある場合は、総括製造販売責任者の常駐する事業所(本社等)がある都道府県知事に許可を申請します。
医療機器製造販売業許可は、一法人に一つの許可となっています。例えば、取り扱う製品が複数あり、それぞれクラス分類が異なる場合、クラスが上位の製造販売業許可を取得していれば、下位の許可を取得していることとみなされますので、上位クラスの製造販売業許可のみを取得すれば良いことになります。
医療機器の製造販売業には下記の3種類があります。
医療機器の種類 | 許可の種類 |
高度管理医療機器 | 第1種医療機器製造販売業許可 |
管理医療機器 | 第2種医療機器製造販売業許可 |
一般医療機器 | 第3種医療機器製造販売業許可 |
医療機器製造販売業許可の要件
医療機器製造販売業の許可を受けるためには、以下の要件を満たしている必要があります。
(1)品質保証の基準(GQP)
医療機器の製造販売業者は、自社工場で製造した製品はもちろん、委託製造した製品に関しても、厚生労働省の基準に適合した品質管理の方法を満たさなければなりません。そのため、予め品質管理の手順を記載したGQPマニュアルを作成する必要があります。また、この品質保証部門の責任者である「品質保証責任者」を、必ず社内に設置しなければなりません。
(2)安全管理の基準(GVP)
医療機器の製造販売業者は、品質管理だけでなく、製造販売後の安全管理においても、厚生労働省令で定める基準に適合する必要があります。この安全管理業務を行うための手順書として、GVPマニュアルを作成します。また、安全管理統括部門の責任者である「安全管理責任者」を、必ず社内に設置しなければなりません。なお、高度管理医療機器製造販売業の場合は、安全管理業務に3年以上従事していた者を「安全管理責任者」としなければなりません。
(3)総括製造販売責任者の設置
医療機器の製造販売業者は、製品の品質管理から販売後の安全管理までの業務を統括し、組織的に遂行するために「総括製造販売責任者」を設置する必要があります。取得する製造販売業の許可が第2種では、総括と品質保証責任者又は安全管理責任者を兼務出来ます。第3種の場合は、総括・品責・安責を1名で兼務出来ます。