収入印紙について
同じ契約書を複数作る時には、1通ごとに収入印紙を貼らなくてはなりません。通常は、相手方と自分とで2通になりますので、印紙もそれぞれに必要となります。
印紙を貼らなかった場合
ほとんどの契約書は、印紙が必要です。そして、印紙税額はその契約の実質的内容で決まりますので、いくら表題を「覚書」としても、内容が不動産の売買契約であれば「不動産売買契約書」としての印紙税が課税されます。
本来貼るべき収入印紙を貼っていない、または金額が不足していることが、何らかの調査で発覚した場合、本来の印紙税額+その2倍に相当する金額が追徴税として課せられます。すなわち、本来の3倍の税金を払わなければなりません。ただし、これに気が付き、自己申告した場合は、本来の印紙税額+その10%の金額の追徴課税で済みます。
なお、印紙を貼らなかった場合、税法上の問題で追徴税が課せられますが、契約の効力自体は無効にはなりません。
印紙税額
印紙税が課税されるのは、「印紙税法」という法律で定められた課税文書です。
下記の3つの項目のすべてにあてはまる文書を課税文書と言います。
(1)印紙税法別表第一(課税物件表)に掲げられている20種類の文書により証明されるべき事項(課
税事項)が記載されていること。
(2)当事者の間において課税事項を証明する目的で作成された文書であること。
(3)印紙税法第5条(非課税文書)の規定により印紙税を課税しないこととされている非課税文書で
ないこと。
課税文書に該当するかどうかは、その文書に記載されている内容に基づいて判断されることになりますが、文書(書面 )の名称や、使用される文言は、当事者間で種々の意味に用いられることが多いため、 名称や文言ではなく、書かれている内容で判断します。
例えば金額そのものの記載はなくても、文書中の単価や数量 で金額が掲載されている場合は、その計算額を記載金額とみなし、領収済と書かれていれば、領収書と同じ扱いとなります。
課税物件表
課税文書の種類 | 印紙税額 |
① 不動産等の譲渡に関する契 約書 ② 地上権または土地の貸借権 の設定または譲渡に関する 契約書 ③ 消費貸借に関する契約書 ④ 運送に関する契約書 | 記載された契約金額が1万円未満: 非課税 1万円以上10万円以下: 200円 10万円を超え50万円以下: 400円 50万円を超え100万円以下: 1,000円 100万円を超え500万円以下: 2,000円 500万円を超え1,000万円以下: 10,000円 1,000万円を超え5,000万円以下: 20,000円 ※15,000円 5,000万円を超え1億円以下: 60,000円 ※45,000円 1億円を超え5億円以下: 100,000円 ※80,000円 5億円を超え10億円以下: 200,000円 ※180,000円 10億円を超え50億円以下: 400,000円 ※360,000円 50億円を超えるもの: 600,000円 ※540,000円 契約金額の記載のないもの: 200円 |
売上代金に係る金銭又は有価証券の受領書 ※商品販売代金の受取書、不動産の賃貸料の受取書、請負代金の受取書、広告料の受取書など | 記載された契約金額が3万円未満: 非課税 3万円以上100万円以下: 200円 100万円を200万円以下: 400円 200万円を超え300万円以下: 600円 300万円を超え500万円以下: 1,000円 500万円を超え1,000万円以下: 2,000円 1,000万円を超え2,000万円以下: 4,000円 2,000万円を超え3,000万円以下: 6,000円 3,000万円を超え5,000万円以下: 10,000円 5,000万円を超え1億円以下: 20,000円 1億円を超え2億円以下: 40,000円 2億円を超え3億円以下: 60,000円 3億円を超え5億円以下: 100,000円 5億円を超え10億円以下: 150,000円 10億円を超えるもの: 200,000円 受取金額の記載のないもの: 200円 営業に関しないもの: 非課税 |
売上代金以外の金銭または有価証券の受取書 ※借入金の受取書、保険料の受取書、損害賠償金の受取書など | 記載された受取金額が3万円未満: 非課税 3万円以上: 200円 受取金額の記載のないもの: 200円 営業に関しないもの: 非課税 |
継続的取引の基本となる契約書 (契約期間3か月以内で、更新の定めがないものを除く) ※銀行取引約定書、特約店契約書、代理店契約書など | 4,000円 |
不動産の譲渡、建設工事の請負に関する契約書に係る印紙税の軽減措置
平成9年4月1日から平成21年3月31日までの間に作成される、次の2種類の契約書について印紙税の税率が軽減されています。
1.土地建物売買契約書などの不動産の譲渡に関する契約書のうち、契約書に記載された契約金額
が1,000万円を超えるもの
2.建物建築工事請負契約書などの建設工事の請負に関する契約書のうち、契約書に記載された契
約金額が1,000万円を超えるもの
軽減後の税額は、いずれも契約書に記載された契約金額により次のとおりとなっています。
記載金額 | 税額 |
1,000万円を超え5,000万円以下のもの | 1万5,000円 |
5,000万円を超え1億円以下のもの | 4万5,000円 |
1億円を超え5億円以下のもの | 8万円 |
5億円を超え10億円以下のもの | 18万円 |
10億円を超え50億円以下のもの | 36万円 |
50億円を超えるもの | 54万円 |