契約書の書式
契約書には、法律上特に決まった書式・形式はなく、原則自由となっています。しかし、契約の成立により、契約の当事者間には債権・債務が発生したことになりますので、この契約の内容が記載された契約書の作成にあたっては十分に注意しなければなりません。
一般的な契約書の書式
表題
一目で契約の内容が分かるものにします。契約の種類として一般的なもの、例えば「土地売買契約書」や「債権譲渡契約書」などです。
ただし、注意しなければならないことは、契約の内容は、表題によって定まるのではなく、記載された条項の内容によって定まるということです。
前文
契約の当事者を確定し、契約書の中での呼称を決めます。
契約書では、当事者の一方を「甲」、もう一方を「乙」と置き換えるのが通常ですが、一般的に契約書を提示する立場の強いものが「甲」となり、立場の弱いものが「乙」となることが多いですが、相手方を立てるために自社を「乙」とすることもあります。
契約書の効力は記載内容により定まるので、甲乙どちらが有利というようなことはありません。実務上は、立場の強いものが「甲」となり、よって「甲」有利な契約書になることが多いと言えます。
本文/条文
契約書の中心となる部分です。本文では、大きく分けて「主要条件」と「一般条件」を規定します。
主要条件とは、その契約ごとに規定する、その契約独自の契約条件です。対して、一般条項は、どのような種類の契約書でも取り決めておくべき一般的な条項のことです。
末文
作成した契約書の数や、所持する当事者などの補足情報を記載します。
作成通数・所持者を明確にすることにより、契約書の偽造を防止する意味もあります。
作成年月日
この作成日付が、契約締結日として扱われ、契約の効力の始期とされます。
また、この契約書作成日以外の日を契約成立日・効力発生日にする場合には、後日紛争にならないよう別途明記しておきます。
署名欄
記載方法には、「署名・捺印」と「記名・捺印」がありますが、より確実性の高い「署名・捺印」が望ましいでしょう。
署名と記名の違い
契約書の契約者の署名部分では契約者の押印がされます。この時、自ら手書きで自身の氏名を書く場合を「署名」と言います。また、あらかじめ氏名をプリントしたり、ゴム印などで印字した場合を「記名」と言います。
署名、記名どちらも印鑑を名称の横に押印するのが慣習となっていますが、署名は、押印がなくても契約は有効に成立します。
署名の場合、文書偽造などで裁判になった際に筆跡鑑定が行われれば記名よりも有利になりますが、記名の場合、本当に本人が記載したものなのか疑わしいこともあるので、記名には押印がないと契約は有効に成立しません。従って、記名の場合は、契約の有効性を確かに証明するために、実印を押印し、印鑑証明書を添付するとよいでしょう。