契約自由の原則
民法では「契約自由の原則」という原則があり、契約を結ぶ当事者が自由に様々な契約を結ぶことを認めています。
契約自由の原則の種類
民法に規定される契約自由の原則は、次の4種類に分類されます。
1.締結自由の原則
契約自体を締結するか締結しないかを自由に決定出来る原則です。
2.相手方自由の原則
相手方を自由に決定出来る原則です。
3.内容自由の原則
契約の内容を自由に決定出来る原則です。
4.方法自由の原則
口頭によるか契約書によるかなど、契約の方法を自由に決定出来る原則です。
口頭の契約でも書面による契約でも、契約としての法律上の効力に違いはありません。
ただし、契約自由の原則にも例外はあり、全てが自由になる訳ではありません。
例えば、契約内容が立場の弱い側(消費者や労働者など)に不利な内容であり、消費者保護法や労働基準法などの規定を侵害するものであれば、契約に際してお互いの合意があったとしても、法的な規制がかけられることになります。
法律上で書面による契約を要請しているもの
民法では、下表のとおり、例外的に法律上で書面による契約を要請しているものもあります。
契約の種類 | 内容 |
農地の賃貸借契約 | 小作契約はこれを文書にしてその写しを農業委員会に提出しなければならない(農地法) |
建築工事請負契約 | 契約を結ぶときは契約書を作成し、工事内容、請負代金、着工期などの事項を記載しなければならない(建設業法) |
割賦販売法に定める指定商品 | 月賦販売契約を結ぶときは、売主から買主に対して、割賦販売価格や商品の引渡し時期などを記載した書面を交付しなければならない(割賦販売法) |
借地借家法 | 次のタイプの契約については、契約書の作成を要求しています。 イ.存続期間を50年以上とする定期借地権設定契約 ロ.事業用定期借地権設定契約(公正証書) ハ.更新のない定期建物賃貸借契約 ニ.取壊予定の建物の賃貸借契約 |
また、契約の際に書面で契約した時と、口頭で契約をした時とで、法律上の拘束力に相違をきたす場合があります。
例えば他人に無償で物を贈与する場合、それが口頭契約であった場合は、贈与する約束をした者はあとからいつでも取り消すことが出来ますが、書面で約束してしまった場合はその約束を取り消すことは出来なくなります。