契約書とは
契約とは、「申込と承諾により当事者が法的効果を生じるような約束をすること」を言います。契約書は、契約当事者間のやり取りを明確にし、双方の合意を成立させるために作成するものです。
契約の種類
民法は、下記の契約を「典型契約」として13種類規定しています。
(1)贈与
(2)売買
(3)交換
(4)消費貸借
(5)使用貸借
(6)賃貸借
(7)雇用
(8)請負
(9)委任
(10)寄託
(11)組合
(12)終身定期金
(13)和解
上記は、あくまで民法が定めた典型的な契約形態に過ぎず、民法で補足しきれていない上記以外の契約形態を「非典型契約(無名契約)」と言い、民法の規定になくても法的に有効となっています。
代表的な非典型契約として、例えば、リース契約やフランチャイズ契約などがあります。
また、複数の典型契約の要素を含むものを「混合契約」と言います。
混合契約は、主にビジネスにおける取引の際に多く見られますが、複数の典型契約が入り混じるため、単純に契約条件の量が多くなり、内容も複雑となります。従って、契約書をきちんと作成する必要があります。
契約は、原則として一方が申込み、もう一方が承諾すれば成立します。このように、当事者の合意さえあれば成立する契約を「諾成契約」と言います。
これに対して、何らかの物の交付があって初めて成立する契約を「要物契約」と言います。例・金銭消費貸借契約等。
また、契約書の作成を義務付けられている契約もあります。このように、一定の方式を充たして初めて成立する契約を「要式契約」と言います。
これに対して、特に方式を必要とせずに成立する契約を「不要式契約」と言います。例・連帯保証契約等。
ビジネス上の契約の大半は、諾成契約であり、不要式契約となりますので、ビジネス上の取引では、必ずしも契約書を必要とせずに、口頭であっても法的には契約が成立します。
任意規定
契約書には、原則としてどのような内容を定めても構いません。ただし、法律により一定の制限があるものも存在します。
法律よりも当事者の合意が優先される場合の法規定を「任意規定」と言い、当事者の合意よりも法律が優先される場合の法規定を「強行規定」と言います。
強行規定にあたる場合、契約書に強行規定と異なる定めを設けたとしても、それは無効であり、法律の規定が優先されることになりますが、任意規定か強行規定かは法文上明らかではありません。
契約の成立時期
法律では、意思表示が発せられると直ちに了知出来る地位にあるものを「対話者」と言い、そうでないものを「隔地者」という区別をしています。
対話者とは、面談または電話による会話で即時に契約を成立させることを言うので申込と承諾の時期について争われることはないと思います。
しかし隔地者間では、手紙などで申込んだ場合、手紙を出した時に効力があるのか、または、相手に着いた時に効力があるのかを決めなければなりません。
契約の申込みは、相手方に到達しないと効力が生じません。
承諾期間を定めてなした申込み・・・・・承諾期間内は申込みを取り消せない
承諾期間を定めずになした申込み・・・・・相当期間内は申込みを取り消せない
隔地者間での契約は、承諾の通知を発信した時に成立します。
承諾期間経過後に到達した承諾は、申込者において新たな申込とみなされます。
承諾者が変更を加えた承諾は、申込の拒絶とともに新たな申込をしたものとみなされます。