過失割合・過失相殺

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過失割合・過失相殺

交通事故では、被害者にも何らかの過失がある場合がほとんどです。その過失の程度に応じて公平に損害を負担しなければなりません。加害者と被害者の過失の程度を割合で表したものを「過失割合」といい、被害者の過失割合に応じて損害賠償額を減額する方法を「過失相殺」といいます。

過失の判断基準

車を運転する場合、様々なルールに従って運転します。単純な例で言えば、赤信号の時は止まらなければなりませんし、右折禁止の道路では右折することは出来ません。また、車を運転する場合には、前方に注意したり、ハンドルやブレーキを確実に操作して、他人に迷惑をかけないように注意する「安全運転の義務」があります。

このようなルールや義務のほとんどが、道路交通法に規定されています。このルールや義務を守らなかった場合は、その運転には過失があったといえます。

道路交通法におけるルールや義務の他に、常識のない運転をした場合も過失があったと判断されます。
例えば、正面からセンターラインをオーバーして自動車が向かってきた場合、常識では、衝突をさけるためにハンドルを切ったりブレーキをかけたりして回避行動をとります。しかし、相手が先に避けるものと勝手に考えて、適切な回避行動をとらなかった場合も過失があったと判断される訳です。

自動車事故の過失割合は、運転におけるルールや義務、また常識を破っていないかどうかでお互いの過失の大きさが判断されるのです。

過失割合の判例

過失割合は、過去の裁判の判例をもとにおおよその基本があります。こうした判例は、損害保険会社が示談交渉をする場合などで、過失割合を決めるのに使われています。

右直事故

信号が青の交差点で直進車と右折車の事故の例
直進車の過失:右折車の過失 30:70

一時停止違反

道路を直進している車と、一時停止違反をした車の事故の例
直進車の過失:一時停止違反車の過失 20:80

優先道路での事故

幅員の広い優先道路を直進している車と、狭い道から出てきた車の事故の例
直進車の過失:狭い道から出てきた車の過失 20:80

高速道路での合流点での事故

高速道路の本線を直進している車とインターチェンジなどから合流車線してきた車の事故の例
直進車:合流してきた車 20:80

同幅の丁字路での事故

同じ道幅の丁字路での直進車と突き当たりから出てきた車の事故の例
直進車の過失:突き当たりから出てきた車の過失 20:80

車線変更時の事故

片側2車線の道路で左側の走行車線を直進している車と右側の追い越し車線から左側の車線に車線変更をした車の事故の例
直進車:車線を変更した車 20:80

損益相殺

交通事故によって、被害者が加害者から損害賠償を受けられる場合、同一の原因によって利益を受ける時には、その利益を受ける分だけ損害賠償額から差し引き計算されるものがあります。このように差し引き計算するものを損益相殺といいます。要するに、損害賠償額の二重取りを防ぐためのものです。

代表例として、労災保険があります。その他に、健康保険や遺族年金などは、すでに支払われたものや支払額が確定しているものについては、損益相殺がされるでしょう。一方で、税金、香典、生命保険などについては、損益相殺をすべきでないと考えられています。

交通事故の発生に過失のある被害者が、労災保険を受けるなどした場合には、損害賠償額が決定されるにあたり、過失相殺と損益相殺の両方がされることになります。

この過失相殺と損益相殺との関係について、最高裁は、過失相殺を先に行うとしています。